京都の西部地域で家庭教師を行っております。主に発達障害のお子さんの家庭教師をしております。


英語の学習法


実用英語の重視化

 現代の学校の英語教育において一番の変化といえば、会話英語の重視、実用英語の重視というのが挙げられます。これは今までの英語教育の反省の上にあります。

 ご年配の方はご存知だとは思いますが、昔の日本の英語教育はとにかく構文重視、文法重視でした。共通一次テストや大学センター試験の初期は問題の半分以上が文法、単語アクセント、並び替えの問題でした。英語の勉強とはとにかく、単語の暗記、文法の暗記のことを意味しました。ところが現実に海外に行くとファストフードの注文1つもできない、これが日本の悪名高い英語教育だったのです。

 一方現代ではかなり変わっています。大学入試の共通テストでは、英語は全配点の半分がリスニング問題になっていますし、リーディング問題でも文法問題は完全にゼロになりました。リーディング問題の形式も、

LineのようなSNSの会話から相手のスケジュールを理解しましょう

といった問題や

スーパーのチラシのようなものから、何曜日何時に〇〇を買ったら安く買えますか

といったことを読み解く問題、

をするといった実用的な英語に変わったのです。

 また、小学校でも、文法よりも先にフォニックスの学習・・まずは習うより慣れろという英語を勉強します。中学では意識が高い系の先生は、自己主張やディベートの練習などをしています。

 この実用英語重視の傾向は全体の方向性としては正しい、と私は考えています。

 ほとんどの人は大学入学以降の人生において、研究者として英語の文献を読んだり、英語で論文を書いたりするわけではありません。ほとんどの人にとっては英語を使う機会とは、コミュニケーションです。ですからコミュニケーションのための英語を学ぶことは正しいのです。

旧帝大レベルを目指すなら構文理解は必要

 ただし、旧帝大レベルの大学受験を目指す方や研究者、エンジニアなどを目指す方向の方は、やはり文法理解、構文理解の英語学習が必要です。文法理解、構文理解ができないと、ロジカルな文章を読んだり書いたりできないからです。ここをおろそかにすると、途中で頭打ちになっていまいます。上記の方向を目指すなら、上位進学校の高校や受験予備校の英語の授業は今でも正しいのです。

2つのスキルが必要

ある意味では、コミュニケーションための英語とロジカルな英語を学ぶことは別のスキルだと考えた方がいいです。そして、本来は2つのスキル両方が必要なのです。

文法重視になった過去の理由

 余談ですが、昔の英語教育が単語重視・文法重視だったのも理由があるのです。昭和の初期・中期は英語使う際に一番必要なことは、とにかく海外の文献の翻訳をすることだったからです。昭和30-40年代、技術系の会社は新卒で採用した京大や阪大の理系の学生にまずは何をさせたかというと、AT&Tやキャタピラー、IBM
などの製品のマニュアルを全訳させることでした。日本語訳したマニュアルからコピー製品を作ったり、リバースエンジニアリングをしたりしたのです。そのために昭和期の英語は上記のような英語教育になった面があるのです。

旧来型の英語学習のほうが向いている当事者もいる

 先ほど、全体としての傾向で言えば、コミュニケーション英語重視の傾向はいいことだと言いましたが、(全体ではなく一部ですが)発達障害(神経発達症群)の人の中には、コミュニケーション重視の英語の授業が苦手な人がいます。会話の流れから状況を理解する、習うより慣れろでまずは音から覚える、というやり方だと、全く単語や文法が入らないタイプがいるのです。このタイプは昭和の古いタイプの英語学習がむしろ有効です。

  • 毎日単語を一つあたり10回、完全に覚えるまでノートに書く
  • 文法事項をまるで交通規則の遵守のように、完全にマニュアルとして暗記する

といった昭和スタイルの英語学習の方が定着するのです。

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