確率・統計重視になっている
算数・数学は昭和後期ー平成前期の頃と比べると、確率・統計分野の比重がかなり大きくなっています。
まず、小学校ですが、平成29年に新学習指導要領が公示され、確率・統計教育の重視が謳われています。「場合の数」や「データの活用」といった内容を小学校ですでに習うことになります。統計分野では、中央値や最頻値の考え方を小学校の段階で習うことになります。昭和の数学教育では、この分野はあまり大きくく、高校生の間に1回習う程度でしたが、現在では「場合の数」「データの活用」などの分野は、小・中・高の3
回も繰り返し習うことになります。この分野はかなり好き嫌いが分かれる分野なのですが、苦手な人は小中高と苦労してしまうことになります。
また、以前は高校の数学Bにおいては実質、数列とベクトルの2つの領域(データの活用・統計的な推測は教科書に載っていたが実質無視されていた)だったのですが、新課程で数学Bは数列とデータの活用・統計的な推測が必修になりました。ベクトルは数学Cに移され、文系志望の人は数学Cを選択しない限り学ばなくなりました。大学入試の共通テストでは、現在は「数列」「ベクトル」「統計的な推測」の中から選択する形式になっていますが、将来的にはベクトルは排除されるかもしれません。
高校の数学ではベクトルや行列といった線形代数が徐々に軽視されていき、統計数学が優位になっています。
実社会で統計数学の必要性が上がっている
これは現在の社会では統計数学の必要性が上がっていることと関係があります。学術研究においても、また、AIが情報を分析する際の元データの構築に関しても、統計数学が果たす役割が非常に大きくなっています。実社会でのニーズが大きくなっているのです。大学の新学部設立なども、「データ〇〇学部」という名称を持つものが多くなりました。
「数学なんて何の役にたつんや!三角関数なんて実社会で一度も使ったことないぞ」と数学への恨みもこめて言う大人の人は多いとは思います。実際、(技術系はともかく)多くの文系職では社会に出て三角関数を使うことはないでしょう。ただし、だからといって全ての数学が全く必要ではないというではありません。いわゆる「文系職」においても、企業の中には統計数学リテラシーを求めるところが増えています。
今後、統計数学リテラシーを持っていることは社会人にとっては必須になるかもしれません。数学嫌いの人は嫌かもしれないのですが、避けられない流れになっています。
大学でも数学重視に回帰しつつある
また、早稲田大学の政経学部が入試科目に数学を必修化させました。早稲田大学の文系は数学苦手な人が受けることが多いのですが、このような人は苦労しそうです。