発達障害(神経発達症群)の人が大学から大学院、あるいは社会人になる時期に気をつけておいたほうがいいこととしては、大学の教官や医療関係者、法律関係者(いわゆる士業)、公務員、といった人たちの中には、発達障害の傾向を持つ人が一定比率の割合でいらっしゃることが多く、当事者の教官や上司になることがあるということです。
共感性が欠如しているタイプに注意
特に注意しないといけないのは、その人が、「本人の個人能力は非常に高いが、共感性が欠如している」というタイプの人の場合です。自分と他者の能力や個性の違いを根本的に理解できなくて、自分にとって当たり前にできることは部下も当たり前にできて当然、という態度で接してきます。他者の能力や個性を理解できないので、
- Aさんは〇〇という仕事が得意だが☓☓は苦手
- Bさんは☓☓という仕事が得意だが〇〇は苦手
という場合、
Aさんに〇〇、Bさんに☓☓をさせればいいものを、適材適所に配属できずに、「全部一通りできて一人前。俺のときはそれが当たり前だった」とAさんに☓☓の仕事をさせてAさんをうつ状態にさせたりしてしまいます。
うまくかわす方法を覚える
私はある大学生の生徒さんの家庭教師をしていたのですが、幸いなことにその生徒さんは、2回生から3回生へのゼミの担当教官の説明会を聴いて、「なんかこの教授、うまくいえないけど変なやつだ」と気づく能力がありました。私はそれを聞いて、その生徒さんに、転学科を申請するようにアドバイスしました。無事、転学科は認められ、その生徒さんと相性がいい教授のゼミに入り、無事卒業できました。後で知ったところによと、その教授は授業中の1/3の時間を「最近の学生はなっとらん」とネチネチグチグチと説教する粘着気質の人だったそうです。
転学科やゼミの転籍が認められるのは、各大学によってポリシーが違いますので、各大学の要項をご確認ください。ただ一般に言えることは、1~2回生で必要な単位をきちんと取れているか、が要件であることが多いです。特に語学の単位が必須であることが多いです
うまくかわせないタイプも
発達障害(神経発達症群)の人の対人コミュニケーション能力は本当に千差万別であり、割と上手にやり過ごすことができるタイプの人もいれば、明らかにダメージを受けてしまっているが、どうしたらいいのかわからず抱え込んでしまい、身動きできなくなってしまった人もいます。発達障害(神経発達症群)の人の中には、他者に援助を求めるということができない人もいます。このタイプの人は支援者や保護者が継続的にモニタリングしないと当事者が苦しんでいることに気が付かないことがあります。
このようなことに関しては、当事者の生徒が大学生になる前には、保護者や支援者は頭の片隅に入れておいたほうがいいでしょう。
まとめ
当事者は大学生から大学院、あるいは社会人の時期に、発達障害を持っている上司や教官に出会ってしまい、コミュニケーションで苦労したり、無理難題をうまくかわすことができずダメージをうけてしまうことがあります。
当事者はできるだけうまく回避できるスキルを身につける必要があります。また、
支援者や保護者は当事者が抱えている状況に気がつく必要があります。