発達障害(神経発達症群)の人の中には、
- 自分の身体をうまく動かすことが苦手で、一般の人に交じってスポーツをするのはしんどい
- 体がすぐに緊張してしまっていて、どうほぐしたらいいのかわからない
という人がいます。そのためスポーツクラブの一般コースなどではなかなかうまくいかなかったりします。
障害者向けのスポーツプログラム
発達障害(神経発達症群)の人が自己観察力を上げ、そして自己コントロール能力をつけるのに役にたつ方法の一つとして、障害者向けのスポーツプログラムを受けてみる、というのがあります。
スポーツチャンバラ
ある生徒さんは、大阪で障害者向けのスポーツチャンバラをしていました。そのスポーツチャンバラ教室に通っているときは、明らかに心身のバランスが良くなっていて、頭の回転もよくなっていました。
タッチフット
ある生徒さんは、タッチフットのチームに参加していました。タッチフットとはアメリカンフットボールを簡略化したスポーツで、タックルの代わりにタッチにすることで怪我の危険性を少なくするものです。
水泳
水泳をしている生徒さんもいました。地上にいると体のバランスが取れない(リンク100)ことが多く、きちんと椅子に座れなかったり、姿勢を維持したりできないことが多かったのですが、水の中だと「かなり楽」とのことでした。
もともと人間は水の中にいた、という説もありますが、水の中にいる方が負担は小さいようでした。
ヨガ
初心者向けのヨガなどに取り組んでみてもいいかもしれません。自分の肉体の扱い方や身体感覚を磨くのに適しています。また、運動の負荷が比較的小さいので、体を動かすのが苦手な人にも向いています。
自分の身体感覚を自分で掴むことが大事
発達障害(神経発達症群)の人にとって、自分の体を動かして、自分の身体感覚を自分で掴んで貰うというのは、非常に大事なことです。自分の身体感覚を自分で掴んでもらわないと、自分の体調を自分で認知したり、自分のことを客観的に認知してもらうことができないからです。そのため、人によっては意識的に自分の身体を動かす習慣をつけてもらう必要があります。
体育会系的なところは向いていないことが多い
ただし、従来型の昭和スタイルのシゴキが残っている体育会的なところは、発達障害(神経発達症群)の人にとっては厳しいでしょう。ある生徒さんは、ある私学高校に進学したのですが、体育祭での5人1組で連帯責任でするタイプの体操もしくはダンスをしないといけないことになり、非常に苦労しました。連帯責任で全員できるまで帰れない、あるいは全員で罰走や腕立て伏せをする、というタイプの訓練は、運動部や消防署、自衛隊のようなチームワークを重視する組織では、現在でも行っているところが多いですが、発達障害(神経発達症群)の人にとってはかなり苦しいということを念頭に置いておいたほうがいいでしょう。