発達障害(神経発達症群)の人が自己観察力を上げ、そして自己コントロール能力をつけるのに役にたつ方法の一つとして、原始反射の統合ワークを受けてみる、というのがあります。
原始反射とは
人間は赤ちゃんのころに外的刺激にたいして、無意識に反射動作を行い、一定数繰り返すまで続けると言われています。これを原始反射といい、
- 歩行反射
- モロー反射
- 握り反射
- 吸啜(てつ)反射
- 瞬目反射
- バビンスキー反射
などがあります。たいていは赤ちゃんのころにすべての過程をたどり、統合されていくのですが、発達障害(神経発達症群)の人の中には、この過程をうまくやり遂げていなくて、統合されない状態になったままになっている人がおり、そのため様々な問題として出てくるのでないか、という説があります。
原始反射が統合されていないと・・・
例えば、
吸啜反射や把握反射が統合されていないと、文字の筆記に問題が出たりすることがあります。
探索反射が統合されていないと、集中力が欠ける、椅子に座ってられないという典型的なADHD
の症状として出ることがあります。
また、乳児期ではなく、胎児期の反射で恐怖反射というのがあるのですが、これが統合されていないと、予定変更にパニックになったり、固まったりしてしまうという典型的なASD(自閉症スペクトラム障害)の症状として出ることがあると言われています。
原始反射の統合ワークとは
原始反射の統合ワークは、胎児期、乳児期に本来完了しているはずの原始反射の中で、やり切っていない部分をやり切ってしまうということを目的にしています。灰谷 孝さんは「回数券を使い切ってしまう」という表現をされています。
原始反射の統合ワークの実技としては、大まかに分けると
- 手技
- エクササイズ
の2つがあります。
多くの場合、親と子のセットで受けることが多いです。また、最初は子供と遊んでいるだけに見えるものがあります。
こういうのを見ると、「遊び」というのは、実は無駄なものではなくて、自然に自分の身体感覚を育てるワークをしていることになるのですね。
いろんな流派がある
一つの参考として、
灰谷 孝 「人間脳を育てる 動きの発達&原始反射の成長」
を参照にされるといいでしょう。
ただし、原始反射の統合ワークは様々な流派があるようで、人によって合う合わないがあると思われます。当事者に合ったやり方を選ぶことが大事になります。
生徒さんの体験例
ある生徒さんは、
- 字を書く際に、ノートの横線に合わせて字を並べるということができない
- 字を書く際に、送り仮名や撥音促音を書けない、書き間違える
- 滑舌が悪く、うまく発声出来ない
ということがあったのですが、原始反射の統合ワークを受けて、半年ぐらいに、かなり改善したのを感じました。(原始反射の統合ワークは効果がでるのにそれくらいかかるようです。長期的な展望で受けるのがよいようです。)