発達障害(神経発達症群)の人の中には運転免許をとりたいけど、なかなか大変、という人もいます。
- 大人数がしんどい
- 指示が聞き取れない
- 高圧的な教官が苦手だ
- 目と手の協調動作に問題がある
- 交通法規が理解できない
など原因はいろいろあります。
大都市圏なら自動車がなくても暮らしていけますが、田舎や郊外だと自動車がないと実質行動ができない地域があります。自動車の運転免許を持っていることが生活に必須になることがあります。また、自動車免許証を持つことは、発達障害(神経発達症群)の人にとっては、ある種の自尊感情を持つことにも繋がります。
梅永雄二先生
発達障害(神経発達症群)の人の就労支援の第一人者である、梅永雄二先生は、栃木県にて、発達障害(神経発達症群)の人が不安なく受講できる教習プログラムの開発に携わっていっらっしゃいます。
鹿沼市の鹿沼自動車教習所
栃木県の鹿沼市の鹿沼自動車教習所では、発達障害(神経発達症群)の人に合わせた、自動車教習プログラムを提供しています。梅永雄二先生がスーパーバイザーとして教習支援マニュアルを策定されました。
つばさプラン
つばさプランは、教習に不安のある方の運転免許取得をサポートするプランです。 診断のない方、療育手帳などをお持ちでない方も「つばさプラン」をご利用いただけます
引用:鹿沼自動車教習所
梅永先生の講演会でこの自動車教習所のお話を伺ったのですが、拝聴して興味深かったこととしては、
「車は給油しないとガス欠する」と気が付かない人がいた
とのことでした。車が止まったがガス欠と気が付かず、右往左往していたそうです。車は給油所で給油するものだ、ということを教えないといけない、とのことでした。
他に、
車の給油所がセルフサービスのところが増えたのは、ASDの人にとってはむしろ朗報だ
とのことでした。ASDの人は、ガソリンスタンドの店員が、早口で「レギュラーですか、ハイオクですか」と聞いてきたり、「オイル交換どうですか」とか話しかけてくることに対して処理できず、パニックになるタイプの人が多かった、ということでした。ASDの人にとっては、無人給油所で自分が知っているマニュアル通りに給油する方が安心できるそうです。
ちょっとした工夫で変わる
一般の自動車学校でも、ちょっとした工夫で発達障害(神経発達症群)の人が通うことができるようなカリキュラムを作ることができるはずです。
私が以前教えていた生徒さんは、一般の自動車免許教習所に通っていて、筆記も実技もほとんどの科目で問題ありませんでした。しかし、応急救護教習の実技で「負傷者が出た場合に、大声を出して周囲に応援を求める」場面でパニックになってしまい、その科目を何度も再受講する羽目になってしまったそうです。
大声を出したり、逆に大声で呼びかけられたりすることは発達障害(神経発達症群)の人の中には苦手な人もいるので、このタイプの人の受講に関して”合理的配慮”が認められたら、もうちょっと負担なく過ごせるのかな、と感じました。
応急救護教習 とは
交通事故が発生した時には、すぐに車を停止させ、負傷者を救護しなければなりません。負傷者の意識や怪我の程度などを確認し、状況によっては人工呼吸や心臓マッサージなどを行う必要があります。こうした応急救護の処置を学ぶのが、教習所の応急救護教習です。
引用:「おとなの自動車保険」様