発達障害(神経発達症群)の人の中には、心の年齢が実際の肉体的な年齢よりもずっと幼い人がいます。経験から学ぶことができない、感情面での分化・発達が遅れている、等の理由で心が幼いままであったりします。(リンク086)
知能指数とは関係ない
京都大学を卒業していても、実際に話したときの印象としては、「小学校高学年くらいかな」という方もいらっしゃいました。自分の思い通りにいかないと、すぐにべそをかいたり、女の人に甘えたりしていました。大人の男の人と1対1で向き合うことを怖がっていました。
ある高校生は、私と会うときに、幼稚園児のようにお母様といっしょに手を繋いで歩いて来られました。北摂の偏差値が高い名門校の中学にいらっしゃいましたが、いじめにあい、その中学を退学されていました。
上記の通り、知能(IQ)的には非常に高いが、心の年齢は実年齢の半分くらい、ということは珍しいことではないのです。
もしかしたら、周りから「いい大学に入ることができて、アホやないはずなのに、なんで何もできないし働かないんや」と陰口を叩かれて、本人は保護者はプレッシャーを感じることがあるかもしれません。
でも実際には大人としてやっていくのは難しかったりするのです。いくら頭がよくても、心の年齢が11歳くらいの小学生に、「いきなり働け」ということは酷なことだということは、想像したらおわかりになると思います。
30歳までに社会人になることができたらもうけもの
これはご家庭に金銭的な余裕があるかどうかで変わるのですが、もし比較的金銭的余裕があるご家庭なら、「30歳までに社会人になってくれたらもう十分や」という広い気持ちをもって頂いたら、保護者様のメンタル的な負担も和らぐのではないかと思われます。
よくある過ごし方ですが、長期間大学・大学院に在籍して、とりあえず学生という肩書を持ってもらうということがあります。やはり、ただの「ニート」と「学生」では本人のメンタル的な不安は違います。
あるいは、就労移行支援事務所に在籍して、就職に向けての移行支援プログラムを受けるという形で時間を過ごすのも一つの手です(こんなこと書くと嫌な思いをする就労移行支援事務所様もいらっしゃるでしょうが・・申し訳ありません)。なんとか”就職”という方向に前に向かって進んでいるという実感を当事者本人は持つことができますし、実際の労働より負荷が少し軽いので、よい練習になると思います。