ASDの人は独特の感覚をもっています。いじめられているのに気がついていないこともあれば、逆にいじめではないのに過剰に反応してしまうこともあります。
いじめに関して
発達障害(神経発達症群)の人の中でも、ASD(自閉症スペクトラム障害)傾向の強い人はどうしてもいじめの対象になってしまうことがあります。独特の表情や態度をすることがある上、人間関係が読めないので相手の怒りをかったり、相手の嘲笑の対象になってしまったりします。
保護者や支援者は、子供さんがいじめに遭っていないか気をつける必要があるのですが、なかなか気が付かないことがあります。
その理由としては、
隠そうとする
プライドの問題で、自分がいじめられていることを隠す人がいます。
意思表示ができない
「いじめられている」「助けて欲しい」という相手に自分の意志を伝える事自体が困難なタイプがいますSSTやアサーションのプログラムを受けたほうがいい場合もあります。
いじめられていることに気が付かない
対人コミュニケーションの意図を読むことができないために、明らかに自分がおちょくられているのに気がついていないタイプの人がいます。自分をいじめる相手も「友達」だと思っていたりします。
このようなことがあるので、注意する必要があるのです。
逆のケースもある
ただし、保護者や支援者が気をつけないといけないこととしては、逆のケースもあるということです。つまり、「本当はいじめられていないのに、本人は攻撃されている」と思ってしまうケースです。このケースがあるので、子供さんからの「いじめに遭った」という報告のみで動いてしまうと、対応を間違ってしまうことになります。また、学校側からはモンペ(モンスターペアレンツ)だと思われることになります。
そのケースとしてよくあるのは、
自分と関係ない会話も自分と関係あると思ってしまう
ASDの人の中には、対人コミュニケーションの指向性を読むことができない人がいます。周りで話されている会話が、誰から誰に向けられたコミュニケーションなのか読むことができないタイプの人がいるのです。自分の周りで、Aさんが横にいるBさんに、その場所にいないCさんの悪口を言っていたとしても、それが誰に向けられたものなのか読むことが出来ず、自分に向けられたと思ってしまうことがあります。聴覚過敏を持っていたりすると、他人の会話を全部自分の悪口だと思ってしまうことがあるのです。
スキンシップが理解できない
ASDの人の中には、感覚過敏などのために、自分の身体に触られることを極端に嫌がる人がいます。小学生や中学生くらいだと、友達がスキンシップのつもりで、「オッス」とか言いながら腕や背中をちょんと叩いたくらいでも、本人の主観的には顔を殴られたくらいの衝撃を受けることがあります。非言語コミュニケーションの意図を読むことが出来ないタイプの人だと、好意からくるちょんと触る行為と、悪意からくる殴る、はたく、という行為の区別がつかない人がいるのです。
また、関西のように人と人とのスキンシップが割と親密で、一見じゃれているのかいじっているのかわかりにくいコミュニケーションをしてくる地域だと、ASDタイプの人にとってはかなりフラストレーションが溜まってしまうことがあります。