触るグリフとは
発達障害(神経発達症群)の人の中には、字の読み書きが苦手な人がいます。ディスレクシアと診断される人もいるでしょうし、それ以外でも字の読み書きが苦手になることがあります。何が原因であるかはともかく、字の読み書きが出来ていない人は、脳の中に各文字の映像がきちんと記憶できていない、もしくは一つ一つの字は映像として入っているが、五十音表やアルファベット表の流れの中でどこにあるのか場所を失調している(まるで方向音痴の人のように各文字が脳の中で迷子になっている)人がいます。
このような人に対して、各文字の特徴がある場所を点字のように盛り上がらせて、それを指で何度もなぞり、指の感触で文字の形を覚え、それによって文字の脳内マップをきちんと完成させよう、というメソッドがあります。触るグリフといいます。
触るグリフ
触るグリフ(https://sawaruglyph.com/)は、
触るグリフは「視ながら触れて」触読学習を行う触読版シートです。文字の形状,単語の綴り,漢字構造の視覚性記憶の定着と精緻化を目的に開発されました。触るグリフの利用対象の1つに、ディスレクシア(発達性読み書き障害)があります。
引用:触読版学習法 触るグリフの「原理と特許」について(https://sawaruglyph.com/haptic/)
とあるように、文字を視ながら、指で触れることで、その文字の形状を定着させようというものです。
youtubeでの紹介動画
事例:カタカナの読み書きが全く出来なかったのが・・・
ある小学生の生徒さんで、カタカナの読み書きが全くできていなかったことが判明した生徒さんがいらっしゃいました。今まで、周りの人の声を聞いて発音しているだけで、読んでいるフリをしていたのです。実際にカタカナを本人に書いてもらうと、まるでエジプトの古代の神聖文字のような、日本語でないよくわからない字を書いていきました。カタカナ50音のうち、7-8割くらいは間違った文字を書いていました。
そこで、お母様が「さわるグリフ」様から標準タイプの触読版シート (https://sawaru126.base.shop/items/55842562)を購入され使ってみることにしました。生徒さん本人は自分では毎回の作業をこなさず、サボろうとするので、私が毎回の作業を監督して、こなすように横でついたり、作業するのを確認したりしていました。
毎回文字を音読したり、指でなぞる、という作業を繰り返していきました。最初はかなり大変で、「カキ」の2文字のカタカナを書くだけでも1つの単語ごとに10分くらいかかりました。(本人に聞くと、「カ」なら「カ」の文字を頭の中からUFOキャッチャーで回収するように必死にとりに行くそうです)。
最初はカタカナの50音を書くことですら困難でしたが、数ヶ月後はだいたい読むことができるようになりました。
数年後中学生になりましたが、カタカナは問題なく読むことができるようになっています。世界地理や理科の生物・化学には数多くのカタカナが出現しますが、難なく読むことができるようになりました。
触覚優位の人はやってみる価値あり
触覚優位の人はやってみる価値あり
触るグリフは、ひらがなやカタカナだけでなく、漢字や算数バージョンもあります。知的能力は低くないのに文字を覚えるのが苦手で、かつ触覚優位の人なら試してみる価値は必ずあると私は考えます。
注:私自身は「触るグリフ 」様とは無関係です。
実際の使い方に関しては、「触るグリフ」様にご質問願います。