家庭での構造化
発達障害(神経発達症群)の人がより暮らしやすくするために、「構造化」が有効であることはよく知られています。
自閉症の人が通っている病院や通所施設、支援学校、放課後等デイサービスなどでは、「構造化」の考えで、物品が配置されていたり、作業のフローが見える化される形で表示されていたりするでしょう。
また、企業などでの障害者雇用の現場では、「構造化」の考えで当事者の作業場所が整えられていることがあるでしょう。例えば、パーティションで区切られていたり、その日の仕事の流れが当事者の視界に入る形で表示されていたりするでしょう。
しかし、各家庭で、当事者の人がより暮らしやすくするために、家の中の環境を構造化するのはかなり難しいです。その人にとっての最適な環境というのは、発達障害の特性によっていろいろであり、いわばオーダーメイドで家具を作るようなものだからです。また、(よくあることですが)、お母様自身が当事者である場合、自宅での自分や子供さんの環境を最適化することが大事だと頭ではわかっているが、どうしたらいいのか途方にくれてしまうときもあります。
整理収納アドバイザーに聞く
あるお母様は、自分の部屋や子供さんの部屋を整理し、構造化することに成功したのですが、その際、引っ越しのプロでかつ整理収納アドバイザーの方に色々と聞いていったそうです。その人は発達障害の専門家ではありませんが、人の動線や癖などを知っていて、最適な配置になるように助言していったそうです。
私から見ても、生徒さんが教科書やプリントをなくしたり、何をしたらいいのかわからなくなってぼーっとしている頻度が少し減った気がします。
構造化とは
構造化とは、アメリカのノースカロライナ大学が開発した、「TEACCH」プログラムの一環として出来たものです。主な考えとしては、空間の構造化があります。(他にも時間の構造化があります)
具体的には、
・目的別の空間を仕切る
・視界を遮る
・整理整頓する
などといったことをしていくことで、当事者が負担なく作業や行動を行うことができるようにしていくことです。
言い換えると、構造化とは、
自閉症の人たちにわかりやすいように環境を整備してあげること
引用:梅永雄二 『「構造化」による自閉症の人たちへの支援』教育出版 2018
と言えるでしょう。