MSPAー診断でなく、支援の視点で作られた評価ツール
子供さんの発達検査のツール(アセスメント)としてよく用いられものとして、WISC-ⅣやWISC-Ⅴ、あるいはKABC-Ⅱなどが知られています。これらのアセスメントによって発達障害(神経発達症群)の人の認知特性が客観的に表示されるようになっています。これでたいていのことはわかるようになっています。
ただし、WISCもKABCも本来は発達障害専用のアセスメントツールではありませんし、どちらかというと支援ではなく、診断の視点から作られたものです。
発達障害に特化し、さらに支援という視点で作られたアセスメントツールとしては、京都大学の船曳康子先生 を中心に開発された、MSPA:エムスパ(Multi-dimensional Scale for PDD and ADHD)があります。
MSPAでは、発達障害の特性について、「コミュニケーション」「集団適応力」「共感性」「こだわり」「感覚」「反復運動」「粗大運動」「微細協調運動」「不注意」「多動性」「衝動性」「睡眠リズム」「学習」「言語発達歴」の項目について対象者および関係者との面接を通して多面的に評価します。
引用:京都国際社会福祉センター: https://www.kiswec.com/publication_04/
とあり、各項目の特性をレーダーチャートの形で表示することでわかりやすくなっています。
MSPAの特徴としては、実際に当事者や支援者から見て感じる”困りごと”の視点から項目が分かれていることです。例えば、MSPAの項目には「集団適応力」「こだわり」「共感性」などがあります。これらは、当事者や支援者から見てよくある”困りごと”です。WISCや一般の知能検査ではこのような表示はないので、これの”困りごと”の程度がわからないという問題が生じてしまいます。MSPAでは発達障害(神経発達症群)の人のこれら典型的な”困りごと”が見える化されるため、支援者からすればわかりやすいという利点があります。
WISCやKABCでは当事者の状況を把握するのがなかなかできない、もっと詳細なツールが欲しいという方なら、一度試してみられたらどうでしょうか。