京都の西部地域で家庭教師を行っております。主に発達障害のお子さんの家庭教師をしております。


ASDの薬



ASD(自閉症スペクトラム)の薬はない

 ADHDが現在それなりに薬がある一方、ASDは今のところ本質的な治療薬はありません。そのため、ASDの当事者はまだまだ日常生活での困りごとを抱えることになります。抜本的に薬で治療するのではなく、日常生活の改善等で自分の障害と向き合っていかないといけないです。

 ASD(自閉症スペクトラム)の治療法が確立してない原因としては、ASDの人の脳は個人差が非常に大きく、その脳の構造についてはまだ完全に解明されていない状態であるということです。非常に複雑な脳のプロセスを経由しているため、何が原因なのかわかっていないようです。

ただし、かなり研究が進んでいることは事実で、例えば

・ASDの人の脳内の特に視床後部領域ではドーパミン受容体が減少していると言われており、そのことが社会的コミュニケーションの困難さを引き起こしていることがわかっております。このことから、将来的にはドーパミン受容体の量を調整する働きをもつ薬の開発につながるかもしれません。

ソース:自閉スペクトラム症には脳内のドーパミンD2/3受容体の減少が関連し、社会的コミュニケ―ションの困難さや脳部位間の機能的な結びつきに関与していることが明らかに | 国立研究開発法人日本医療研究開発機構 (amed.go.jp)

・ASDのモデルマウスの脳内では、セロトニンの量が減少していることが観察されています。このことが、感覚過敏やコミュニケーション障害と関係していることがわかってきました。、また、興奮性と抑制系の神経細胞がバランスよく発達していないこともわかっています。これらの知見が将来的にはよい薬の開発につながるかもしれません。しかし、人間ASD一人一人の脳内はもっと複雑で多様性に富んでおり、まだまだわからないことだらけのようです。

ソース:最新研究で判明!「ASD」の人の脳で起きている「がん」との意外な共通点 (内匠 透) |ブルーバックス |講談社(1/3) (gendai.media)

 このように、ASDに関しては研究が進んでいるもののまだまだ未解明のことが多く、ADHDと違って薬物療法が出来上がるには時間がかかりそうです。

生きづらさを軽減する

そのため、ASDの人の生きづらさをなくすためには、

  • ASD当事者が生きやすい環境づくりを整える
  • 二次障害等をなくす

ということが大事になります。

環境づくりを整える

 ASD当事者がその力を発揮できるかどうかは、環境にかなり左右されます。もちろん定型発達の人でも、環境や相性によって実力を発揮したりできなかったりしますが、ASDの人はもっと顕著に出ます。感覚過敏で集中できなかったり、人間関係でダメージを受けたりするからです。ですから、家の外では、本人の特性を十分発揮できる職業や職場を慎重に選ぶ必要があります。家の中では、彼らが安心できる環境を作る必要があります。場合によっては、当事者の部屋を彼らが安心して使うことができるように構造化するとよいです。

二次障害をなくす

 ASD(自閉症スペクトラム)の当事者は、こだわりが強い、対人コミュニケーションが苦手、感情処理が苦手といったことで、学校や職場でトラブルを抱えてしまうことがあります。そして、鬱などの精神疾患の二次障害を抱えてしまうことがあります。そうならないために、感情処理を学ぶ、対人コミュニケーションの学習をする(SST)、自己観察力をつけて自分の方向性を自分で確かめる、ということをしていくことが大事です。正直、日常生活や対人コミュニケーションでダメージを受けることが避けられないですが、それからできるだけ早く回復できるかというレジリエンス力をつけておくことが必要です。

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