
発達障害(神経発達症)の人が勉強ができない(しない)ようになる原因の一つとしては、気候の変化に弱いというのがあります。特に、梅雨の時期の湿度が高くて気圧が低い時期に不調になることが多いです。また、あまり気づかれにくいのですが、9月から10月の秋雨前線の時期も、雨が多くて気圧が低いので、不調になることが多いです。本人が自覚していないことが多く、周りが気がつかないといけないことが多々あります。
気圧が低いと体調が悪くなる理由
自律神経のバランスが崩れる
気圧の変化により自律神経のバランスが崩れ、頭痛・めまい・倦怠感・吐き気・不安感などが現れます。
内耳が気圧の変化を感知する
耳の奥にある内耳(前庭器官)は、気圧の変化をセンサーのように感知します。気圧が急に下がると、内耳が過剰に反応し、自律神経に信号を送ることで体調に影響を与えます
血管の拡張と脳圧の変化
気圧が下がると、外からの圧力が減り、血管が拡張しやすくなります。特に脳の血管が拡張すると、周囲の神経を刺激して片頭痛や頭重感を引き起こします
酸素濃度の低下
低気圧では空気中の酸素濃度がわずかに低下し、脳や筋肉への酸素供給が減少します。それによりだるさ・集中力低下・眠気などが起こりやすくなります
発達障害の人が特に気圧の変化に弱いわけ
発達障害を持つ人が低気圧によって体調を崩しやすいのは、複数の生理的・神経的要因が重なっているためです。一般的に低気圧が自律神経に影響を与えることは知られていますが、発達障害のある人はそもそも自律神経のバランスが不安定であることが多く、気圧変化により一層影響を受けやすくなります。加えて、発達障害特有の前庭感覚(平衡感覚)や固有受容感覚(姿勢認知)の過敏さや鈍さが影響し、体のバランスを取るのが苦手な傾向があります。
低気圧により内耳の圧受容が変化すると、バランス感覚がさらに揺らぎ、めまいやふらつき、過敏な感覚刺激への過反応などが引き起こされることがあります。また、外的刺激に対する脳の処理が過剰になることで、気圧の低下そのものを「不快な刺激」として受け取ってしまい、不安・疲労・過敏な反応が連鎖することもあります。
こうした影響により、発達障害を持つ人は健常者よりも低気圧による体調不良になりやすく、長引きやすいのです。適切な環境調整や事前の気圧変化予測、また感覚統合療法などを通じて、自律神経と感覚の過敏性を緩和する工夫が求められます。
(きちんと統計を取ったわけではないですが)発達障害の人は、一般の方と比べて、アトピーやぜんそくなどを併発している方が多いと思います。このような方は、気圧が低い時期に複合した症状がでることが結構あります。低気圧でしんどい上に、アトピーがひどくなる、と言った具合です。
自律神経を安定化させるには
発達障害の人が低気圧による体調不良を予防・緩和するには、自律神経と感覚過敏への対策を軸に、日常的な工夫と事前準備が有効です。
規則正しい生活習慣
決まった時間に起きる・寝る・食べることで、体内リズムを安定させることが必要。
ぬるめの入浴(38〜40℃)でリラックス
副交感神経が優位になり、過剰な緊張や感覚刺激が和らぎます
呼吸法や瞑想、ストレッチ
交感神経を落ち着かせるヨガ・マインドフルネスをする
耳マッサージや温め
内耳の血流を促進し、気圧センサーの過敏反応を緩めます
バランス訓練や感覚統合療法
体の位置感覚や重力感覚を育てることで、低気圧でもふらつきやめまいを起こしにくくなります。
漢方薬を使う
五苓散などの漢方薬を使ってみるのも一つの手段です。
気圧の変化による体調不良(特に発達障害を持っている方)の酷さは非常に個人差があり、人によっては起立性調整障害などを併発してしまう人もいるそうです。あまりにひどい場合は、気象病外来などを受診されたほうがいいでしょう。