自分がない
発達障害(神経発達症群)の人の中には、客観的な認知は得意だが、自分の意思がないタイプの人がいます。このタイプの人の中には、「自由にしていいよ」と言われたら逆に困ってしまうことがあります。また、大学生になって、研究生活をする際や、社会人になるときに困ってしまうことがあります。
このタイプの人は、与えられた情報を処理すること自体は問題ないことが多いので、先生の授業を理解したり、宿題をこなしたりすることはできたりします。しかし、そこから自分の興味を広げていったりすることができないので、どうしても勉強の伸びは停滞することになります。
また、あまりにも自由放任の環境にいると、何をしたらいいのかわからなくなって、途方にくれてしまい、結局何もしない、ということになります。勉強面だけでみれば、このタイプの人は、課題・宿題が多くて、面倒見がよい学校に入学したほうが成績が上がるでしょう。
自分の意思がないタイプに関しては、
こちらの精神科医の先生が丁寧にご説明されています。
大学・社会人で苦労する
中学・高校の学習のように、「何を勉強するのか」決まっていることを学習するのはこのタイプの人は問題なくできます。面倒見のいい学校に入ればなんとかやっていけます。
しかし、このタイプの人は大学生で自分の研究をする時期、あるいは社会人に向けて動かないといけない時期で困難な状態になることが予想されます。
大学生も3回生以降になり、自分の研究テーマを決めないといけない状態になったときに、自分の意志がないので何をしたらいいのかわからずパニックになったりします。さらに、研究発表において、「私は〇〇を言いたい」という研究の論点を作ることができず、延々とデータを並べていくという形のプレゼンを行い、何がいいたいのかわからない発表をしてしまうのもこのタイプです。
また、入試や就職で志望動機書などを書いたり、自己PRなどが出来なくて固まってしまうこともあります。このときに初めて、「自分には意思がない」と気がついて、深刻なアイデンティティーの問題に出くわすこともあります。
自分の意思を自分で見つけるには
自分の意思がない場合、嫌なことの逆
発達障害(神経発達症群)の人の中には、自分の意思がないタイプの人がいますが、実は、「本当は自分の意思があるのだが、自分の内面を自分で認知していないので気がついていない」ということがあります。その中でも、特にストレスを貯めやすいのは、「自分の中に本当は強固な”こだわり”レベルの意思があるが、そのことを自分では認知できていない」というタイプです。
このタイプの人の場合、遅くても社会人になる前には、自分の内面を自分で認知する練習をしたほうがいいでしょう。人によっては、向き不向きはあるとは思いますが、
- カウンセラーと話し合う
- マインドフルネスや瞑想をする
- 心理学の勉強をしたり、認知行動療法を受けることで自分の考え方の癖を知る
というのがよいのではないでしょうか。
一つヒントを申し上げると、自分が内面で持っている「意思」は大抵の場合、自分が「嫌だ」と思っていることの逆が多いです。例えば、「大人数でうるさい環境で働くのは嫌だ」と感想を持った場合、それは逆の、「静かで少人数で働く環境がいい」ということを表していることが多いです。
人間の心は不思議なもので、「やりたいこと」はなかなか見つけられないのですが、「嫌なこと」はすぐに認知できるようにできています。