興味の幅が狭すぎるタイプ
発達障害(神経発達症群)の人の中には、興味の幅が狭くて、自分が興味を持つ分野は非常な集中を示すが、それ意外は全く意識に入らないタイプの人がいます。
勉強をする際にも、その分野全体の学習内容を把握することよりも、細部に関心を持ちすぎてそこから動けなくなることがあります。
例えば、
- 問題の内容よりも、挿絵の絵の書き方ばかりに関心が行ってしまう
- 問題文を読んだときに、自分が好きなアニメのタイトルと同じ単語を見ると連鎖的にそのアニメの単語が出てきて止まらない
などです。
このタイプは自分が興味がない分野は、無意識的に徹底的に無視する傾向があるので、その分野に関して、「普通は知っているだろう」というレベルのことさえ知らないので、教科書の説明レベルですら全くわからなくなってしまっています。
野球やサッカーのルールを「何一つ」知らなかったりするので、体育の筆記テストで最低限のこともわからなかったりします。
水が高いところから低いところに流れるとか、この世に電気が存在するとかいうことを知らないので(実話です)、理科の実験の基礎説明すら理解できなかったりします。
対策
これは大きく分けて2つの方向性しかありません。どちらを選ぶかは、本人の固執性(こしゅうせい)の強さを見て判断せざるを得ないでしょう。
方向性1
- 行けるところまで行く
- まずは、そのまま当事者本人が好きな分野を徹底的に勉強するのを助けていくようにします。行けるところまで行きます。
- 行き詰まる
- いずれ狭い知識だとそれ以上前に進むことができなくなり、その周辺の知識が必要になることがわかります。
- 他の勉強も必要だと納得する
- その周辺の分野を勉強することはやっぱり必要だと本人に納得してもらってから周辺の分野を勉強する。
このやり方だと、短期的には成果がでない時期が必ず出ます。そのため、保護者がそのことに納得していただかないといけません。
方向性2
- 比較的メンタル的に穏やかで融通が効くタイプ
- 当事者に過度の負荷をかけない範囲で、本人の興味の外にはあるが、今後の人生のために必要な知識を身に付けさせる勉強をするルーティンを作り、それをこなしてもらう。
これができると楽です。
教養科目で苦労する
ただ、どちらにせよこのタイプが大学へ進学したときに、案外苦労するのが、1回生、2回生の一般教養科目の取得です。本来は様々な学問に触れて知識の幅を広げてもらうための講座なのですが、あまりにも興味の幅が狭いと、どの講座にも興味を持つことが出来ず、単位取得に苦労することになります。さらに、就労の際に、知識の幅が狭すぎると、総合職的な仕事は難しくなります。
興味の幅が広すぎるタイプ
逆に興味の幅が広すぎるというタイプも問題になることがあります。ADHD傾向の強い人に多いのですが、常にいろんな物事に目移りしてしまって、一つのことに集中することができない、定着するまで根気が続かないというタイプです。
このタイプの人の場合は、誰かがマネージャー的な役割を果たさなければなりません。当事者は常に目の前の興味に飛び込んでいるので、全体として何をやっているのかは、把握していないからです。このタイプは勉強をしていて、必ず”抜け”が発生するので、支援者や保護者が本人の弱いところを見つけて補う学習計画を立てないといけません。そうでないと、自分がどこがわからないのかわからなくなってしまうので、学習の伸びが止まってしまうことになります。