発達障害(神経発達症群)の人が勉強ができない原因として考えられる1つとしては、問題を解くときに目(視点)の移動ができていないというのがあります。
視点が固まってしまっている
当事者の生徒さんを観察してよくあることなのですが、問題を解いているときに、視点が一点に固まっていて動いていないということがよくあります。問題の範囲全体が見えずに、一部分だけを見て、勝手に思い込みで答えたり、あるいはわからないと固まってしまっていたりします。多くの場合、設問文のさらに前にある条件説明文や前書き、図表や注などを見ていないです。
このタイプの人の場合、問題を解く際に、まずは問題の範囲がどこからどこまでかを確認してもらう癖をつけて貰う必要があります。たいていの場合、目の前の小問の文しか読んでいないので、「全体の説明文もある」「この文の説明として横に図表がある」「小さい字で注がついている」などを教えていく必要があります。
現在の入試傾向としては、全教科ともに、暗記問題よりも長文を読んでの内容把握問題、図表を交えた情報を処理する問題が増えています。早ければ中学生の問題から、1問を解くのに数ページの範囲を把握しないといけない問題があります。大阪府チャレンジテストなどはそうです。
そのため、文書や図表を広い範囲で見て情報処理する訓練をつけないと、本来の実力を発揮できないことになりかねません。
目を動かすことを習慣づける
対策としては、「問題を解くときには目を動かして、問題の範囲の全体を見るものである」ということを本人に認知してもらう必要があります。たいていの場合、発達障害の当事者は自分の視野が狭い、あるいは目が移動していないことに気がついていないので、そのことに自覚的になってもらう必要があります。
自覚してもらったあとは、問題を解く際に、「問題の範囲を全部把握しているか確認する」訓練をしてもらいます。このあたりは自転車に乗る練習と同じで、ある程度体で覚えてもらわないと仕方がない面があります。
専門医に相談したほうがいいケースも
また、発達障害の人の中には、視野の特定の部分が極端に狭かったり、目のピントを合わせる機能に問題が生じている人もいらっしゃいますので、専門医にご相談されたほうがいい場合もあります。
ビジョントレーニングを受けてみる
これら視野が狭い、視点が移動しない、という問題の解決として、ビジョントレーニングを受けてみる、という方法があります。
ビジョントレーニングは、目で見た情報を正確に捉えて脳で適切に処理するようにして、それをもとにして視覚機能を向上させるトレーニングです。日常生活や学習、スポーツなどのパフォーマンスを向上させることを期待されていますが、発達障がいの人の困難さを軽減されることが期待されてもいます。
本格的な対策をお望みなら、お近くのビジョントレーニングの専門家にご相談されたほうがいいかもしれません。