発達障がい(神経発達症群)の人が勉強できない、しない原因としてはいわゆる「オン・オフ」の切り替えができないのも一つの原因として考えられます。
オフに全部気を抜いてしまうタイプ
ほとんとの人は日常生活でいわゆるオン・オフを切り替えていると思います。勉強や仕事のときは
90~100%気を張っているとすれば、プライベートの時間、休日では30-70%くらいの緊張度で過ごしたりするでしょう。しかし、発達障がいの人の中には休日、あるいは春休みや夏休み、冬休みなどで、
完全に勉強のスイッチを0に切ってしまう
タイプの人がいます。このタイプは無意識的に「今日は休みなので勉強の日ではない」という設定が心に入ってしまっている人が多いです。(自閉度が高い人の中には、「今日は休日なので勉強の日ではない」と無意識にラベリングをしてしまう人がいます)。本人は意識していないことが多いのですが、このようなタイプの人の場合、心のスイッチを完全に切ってしまうことが多く、それまで数ヶ月勉強した内容が全部初期化されて
「0」
になってしまっていることがあります。なぜなら、無意識に「勉強しない日は勉強のことに頭を使わない」という設定が入っていることがあるからです。特に「ゼロか100か」という思考パターンがあるタイプの場合、「休日は勉強しない日」とインプットされている可能性があります。
本人の心にインプットし直す
対策としては、まず、「学校がない日だからといって勉強しなくてよいわけではない。学校の授業日の有無と勉強の必要性は関係ない」ということを本人の心にインプットしないといけません。休日も勉強する必要があること、また、授業日ではなく、長期的な目的のために勉強するように習慣づけたほうがいいでしょう。長期的な目標をたてられないタイプの人の場合は、とにかく
「毎日これくらい勉強する」
というルーティンを構築して習慣化することが大事です。
このタイプは、休日に完全に気が抜けてしまっているという自己認知ができていないことが多いので、「気が抜けているな」と感じたら、少しくらいなら怒る、ちょっと一喝するくらいのことはしたほうがいいです。(もちろんその人のタイプにもよるので、怒るのはダメなタイプの人もいますが)
オフという概念がない、休めないタイプ
逆にオフという概念がない、「休む」という概念がないタイプの人もいます。このタイプの人は学校や会社の休憩時間で何をしたらいいのかわからず、途方にくれて、むしろ余計にストレスが溜まったりします。「休む」概念がないので、休みやプライベートの時間でも仕事や勉強のときと同じ緊張感を維持し続けてしまいますが、本人はそれに無自覚であることが多いです。たいていの場合、自分の心や体の不調に無自覚であることが多くて、ある日倒れてしまいます。あるいは、消耗しているのに気が付かなくて、勉強や仕事のパフォーマンスが落ちているのに本人自身では気が付かなかったりします。
また、オフという概念が一応あるタイプでも、過集中しすぎるタイプだと、結局同じで、自分が消耗していることに気が付かなかったりします。
休息をとることをマニュアル化する
このタイプの場合、
- まずは本人に自分の心身のコンディションを自己観察してもらうようにしましょう。オーバーワークで消耗していることに自分で気がついてもらうことが大切です。
- 就労シーンなどでは、ジョブコーチが定期的にアセスメントをすることが必要です。
- しかしどうしても自己観察が出来ないタイプだと、親・支援者がある程度、一日のスケジュールの中で定期的に休息をとるように一日のスケジュールをマニュアル化することが必要になります。