「勉強しなさい」という言い方をしても動かない人は大きく分けて2つのタイプがあります。
具体的な指示でないとわからない。動けないタイプ
発達障害(神経発達症群)の人の中には言葉の具体的なイメージを持つことが出来ない、あるいは苦手だとタイプの人がいます。そのタイプの人の場合、例えば保護者から「勉強しなさい」と言われた場合、何をすることなのか全くイメージできなくて動けなくなってしまうことがあります。
このようなタイプの人は、「英語のこの問題集のp24からp25までを今日中に終わらせる」「理科の授業プリントを〇〇の場所に貼り付けて整理する。そしてまとめてテスト勉強をする」と具体的な指示にしないと理解できないです。
言葉をイメージとして掴むことができないので、それぞれの作業として分解して実行してもらわないといけません。
また、一度作業としてルーティン化すると、本人にとっては習慣化したものになるので、定型発達の人よりもむしろその作業を必ずするようになります。
復習って何?
ただし場合によってはそれぞれの作業の意味を本人に確認したり、認知させたりする必要があります。これは実際の話しですが、「復習」とは何か全く知らないし、したことがない生徒がいました。特別知能指数が低い生徒ではないですし、さぼっていたわけではないです。おそらく小学生時代何度も先生や保護者から「復習」という語を聞いていたはずですが、「復習」という言葉の意味を全く理解していなかったために、「復習」というものが、今までやった勉強の内容をもう一度確認するという行為と結びついていなかったのです。当然テスト前にも、今まで学習した内容を確認するということをしたことがありませんでした。発達障害の人(特にASD傾向の強い人)の中には、世の中の様々な言葉の意味を実際にはほとんど理解できていないために、様々な指示を理解できていなくて、動けないことが多々あります。
いちいち理屈で納得しないといけないタイプ
特にASD傾向の強い人に多いのですが、すべての行動を「なぜそのような行動をしないといけないのか」理屈で納得しないと動けないタイプの人がいます。
このタイプの人に対しては、「とにかくしないといけないから勉強しなさい」という説明だと納得できません。「なんで、とにかく、なの?」と聞き返して来たりします。
場合によっては、「あなたが将来苦労しないために言ってあげているのよ。勉強しなさい」とか、「将来あなたが成功するためだ」等のありきたりの言い回しで納得することもありますが、それでは無理なこともあります。
ここで重要なのは、彼らが納得するには、そのロジックが彼らから見て主観的に正しいロジックである必要があるということです。いくら客観的に正しいロジックでも、本人が受け付けないロジックだと動いてくれません。逆に言えば客観的には正しいとは思えないロジックでも、本人が納得すれば動いてくれます。ちょっと言葉は悪いですが、ある意味詐欺のような言い回しをこちらがしても、本人が納得したら動いてくれることがあります。