京都の西部地域で家庭教師を行っております。主に発達障害のお子さんの家庭教師をしております。


緊張しやすい


発達障害(神経発達症)の人の中でも、特にASD(自閉症スペクトラム障害)傾向の人は体が緊張しやすい人がいます。

自律神経のバランスが取れないために緊張してしまう人もいれば、感情処理ができなくて体が固まってしまう人もいます。

緊張してしまう理由

自律神経のバランスが取れない

発達障害のある人が身体の緊張を抱えやすい背景には、自律神経系の調整機能の偏りがあります。自律神経は、交感神経(活動・緊張)と副交感神経(休息・弛緩)からなり、環境や心の状態に応じてバランスを取っています。しかし、発達障害のある人では、この切り替えがスムーズに行われにくく、交感神経が過度に優位になる状態が持続しやすいとされています。

その結果、外界の刺激に対して「常に警戒状態」として反応し、心拍の上昇・筋肉のこわばり・浅い呼吸といった生理的な変化が常態化します。特に感覚過敏の傾向がある人は、音・光・触覚刺激などが過剰に緊張を引き起こす要因となり、日常的に身体が構えてしまうのです。これは、意識的というよりも、自律的(無意識)な反応であり、本人の努力だけでは緩和が難しいケースもあります。

感情処理が苦手

発達障害のある人は、感情の認識・整理・表現に困難を抱えやすく、これが身体的な緊張として現れることがあります。特に、不安・怒り・混乱といった「高 arousal(覚醒度)の感情」に対し、うまく言語化や行動に転換できないとき、その感情が身体へ直接的に表出する傾向があります。

脳の扁桃体や前頭前野といった「感情制御」に関与する領域の働きに偏りがあるとされており、感情刺激への反応が過剰になりやすい。そして、心の中に葛藤やもやもやがたまった状態では、筋肉に不随意の力が入り、肩がすくむ、背中が丸くなる、手足がこわばるなどの反応が生じます。これは、外界に対して「自分を守ろう」とする防衛的な反応とも言えます。

また、感情のコントロールが難しい場面では、「次に何が起こるかわからない」などの不確実性がさらなる不安を生み、結果的に身体がフリーズ状態になることもあります。こうした身体反応は、感情処理の支援や自己理解を深めることで、少しずつ緩和が可能です。

頭に血が上ってしまう

発達障害のある人が「頭に血が上りやすい」と感じる場面では、情動の制御に関わる脳のメカニズムに特徴があります。具体的には、扁桃体の過活動前頭前野の抑制力の弱さが関連しています。扁桃体は危険や脅威を察知する脳の部位であり、そこが過敏に反応することで、些細な刺激でも「怒り」「恐れ」などの強い感情が生じます。そしてその感情をコントロールする前頭前野の働きが弱い場合、情動が一気に高まってしまうのです。

これにより、怒りなどが「瞬間湯沸かし器」のように爆発的に表れ、心拍数や血圧の上昇、顔の紅潮、呼吸の浅さといった身体反応が伴います。このような反応は、自律神経の交感神経が急激に活性化することで引き起こされ、実際に「頭に血が昇る」という感覚として知覚されることもあります。

事前に自分の感情の高まりに気づきにくく、「気づいた時にはもう怒っていた」ということも少なくありません。そのため、感情のグラデーションに気づく練習や、身体サインに意識を向けることで早期介入が可能になります。

恐れが強い

要するにまとめると、先の読めなさからくる「恐れ」が強いために過剰に反応してしまうということです。

煽りに反応しすぎてしまう

発達障害のある人が他者からの煽り(挑発や皮肉)に敏感に反応してしまう背景には、社会的な文脈理解や感情調整の難しさが関係しています。例えば、相手の言葉の裏にある意図を読み取る力(暗黙のニュアンス理解)が弱いと、皮肉や冗談を「攻撃」として真に受けてしまうことがあります。

また、過去の経験(否定や拒否)から自尊心が傷ついている場合、相手の言葉が「自分を否定するもの」として強く受け止められ、過剰防衛に走ることがあります。これにより、交感神経が活性化し、怒りや苛立ちが生じ、身体にも緊張や動悸が現れやすくなります。

さらに、他者との摩擦に対する「予測困難性」や「どう対応すればよいか分からない不安」が重なると、防衛的・攻撃的な反応になってしまうこともあります。これを緩和するには、「どういう時に反応してしまうか」を本人が把握し、あらかじめ対処パターンを用意することが有効です。反応の前に「間」をつくる練習も、衝動的な反応の抑制につながります。

こちらも「恐れ」が原因

表面的には社会的な文脈が読めないことが原因なのですが、根っこには「恐れ」や「自尊心の欠如」があります。他人から煽られると、ネット等で何時間でも粘着してしまったりするのですが、本人に自覚がありません。

このようなタイプの人は自分の心を観察する必要があるでしょう

上記のような、怒りで頭に血が上る、他者の煽りに本気で怒ってしまう、という人の場合、体の筋肉がコチンコチンに固まって、まるで鉄板のようになっている人もいます。数時間経たないと体がほぐれてこないこともあります。

体の緊張を緩めるには

 身体の緊張をゆるめるには、脳と自律神経への“安全サイン”を送ることが大切です。発達障害のある人は、感覚・感情の処理が刺激過剰となりやすく、その結果として交感神経が優位になり、筋肉のこわばりや呼吸の浅さなどが生じます。そこで、以下のような方法が緊張の緩和に有効です。

まず効果的なのは深呼吸です。特に「4秒吸って、6秒吐く」などの吐くことを重視した呼吸は、副交感神経を活性化し、身体をリラックスモードへ導きます。意識して腹式呼吸を行うと、より効果が高まります。

次に、筋弛緩法(PMR)のように、一度力を入れてから脱力することで、筋肉の緊張と弛緩を体感できます。「手をギュッと握ってからパッと開く」「肩をすくめて5秒耐えて力を抜く」などの動作を部位ごとに繰り返すとよいでしょう。

また、感覚のチャンネルを変えることも有効です。例えば、好みの音楽を聴く・冷たい水で手を洗う・ぬいぐるみを触るなど、自分が「安心できる感覚刺激」で注意をそらすと、過剰な感情や感覚入力がやわらぎます。

最後に、ルーティン化された「安心の行動」(決まった音楽、飲み物、香りなど)を持つことで、緊張時に「いつもの自分」に戻る手助けとなります。こうした方法を組み合わせて、少しずつ自分に合った緩め方を探っていくことが大切です

Success

今までの経験だと、「お気に入りの感覚刺激」を与えるというのは効果的です。本人が好きな器物を一定時間触る、あるいは特定の匂いを嗅ぐ、ということで気持ちが安定することがあります。固執性が強い人は好きな感覚刺激を与えられると、「お気に入りの世界」に戻ることができるので落ち着いたりできます。

PAGE TOP