
発達障害(神経発達症)の人の中には、深刻な場面や自分が失敗した状況で「ヘラヘラ」笑ってしまう人がいます。
場にそぐわない笑い方をしてしまう
シリアスな場面や、怒られている状況などでヘラヘラしてしまう理由としては、主に2つの理由があります。
場の空気が読めない
場の状況が読めていないというのが多くの人に見られます。深刻な場面である事自体が理解できていなかったり、あるいは、自分の笑い方で相手が腹を立てていても気が付かなかったりします。相手の表情を理解するのが苦手なことが多いので、気が付かないのです。また、状況によって態度を変えないといけないという常識がないことが多いです。深刻な場面ではヘラヘラしてはいけないが、カジュアルな場では態度を崩していい、という使い分けをするということ自体知らないことがあります。
緊張・ストレスで笑ってしまう
もう一つ多いのが、きちんとしないといけない場面であることはわかっているが、そう思えば思うほど、逆に笑ってしまう、というタイプです。笑いというのは一種の「緩和」ですが、脳にストレスが溜まれば溜まるほど、それを和らげようと勝手に笑ってしまうのです。本人にとっては辛いことから回避するために笑っているのですが、相手からすればふざけているように取ってしまい、さらに悪い状況に陥ってしまう、というのはよくあります。
コミュニケーションを学習する
このようなタイプの人は、対人コミュニケーションにおいて、それぞれのシチュエーションでどのような態度を取ったらいいのかを学習していくことが必要になります。
学校や社会での対人コミュニケーションの場において、それぞれのシーンにおいてどのような態度がふさわしいのかを、まるで自動車の教習所での教習のようにマニュアル化をして学んでいくことで、「理解はできないまでも、自動的に行動できる」ようになることがあります。
場面ごとにコミュニケーションの意味を類型化して覚えていく
発達障害の人(とくに自閉傾向の強い人)にとっては、対人コミュニケーションの意味を理解することは非常に難しいことです。定型発達の人が、成長の過程で「自然」に理解していくこれらの対人コミュニケーションの意味がこ、発達の人にとっては自然には理解できないのです。
そのため場合によっては、シチュエーションごとに、「この場面はこういう意味だよ」とか教えていくことが必要になります。
これは、特に自閉傾向の人にとっては、学校の勉強よりも難しい作業になります。なぜなら、学校の勉強はきちんとした体系があり、それを覚えたりすると対処できるものが多いですが、対人コミュニケーションの意味を理解することは、紙に答えが書いてあるわけではないし、必ずこうなる、と決まっているわけではないからです。自閉傾向の人にとっては、相当苦しい作業になります。
それでも、対人コミュニケーションの意味を分類して、マニュアル化して対処できるようになると、当事者自身が非常に楽に生きることができるようになります。(最後まで対人コミュニケーションの「意味」を理解するのは難しいのですが・・・・)
すべての人が効くわけではないのですが、場合によってはSSTを導入することで、コミュニケーションごとの対応を学ぶことができるようになることもあります。
場面緘黙
場にそぐわない態度をしてしまうのは、「ヘラヘラする」以外にももちろんあります。
上記とは逆で、人前に出ると、場面緘黙になってしまう、というのも発達障害の人に多い特徴です。