
権威や目上の人に楯突く
反抗挑戦性障害とは
反抗挑戦性障害とは
反抗挑戦性障害(ODD: Oppositional Defiant Disorder)は、子どもが権威ある人物に対して持続的に反抗的、挑戦的な態度を示す精神的な障害です。この障害は通常、10歳以下の子どもに見られ、怒りや挑発的な行動が特徴です。具体的には、頻繁なかんしゃく、大人との口論、規則や要求への拒否、他人を故意に苛立たせる行動などが挙げられます。これらの行動が6か月以上続き、日常生活や社会的な機能に影響を及ぼす場合、診断されることがあります。
一般的には反抗挑戦性障害は10歳以下の子どもに見られる、とありますが、実際には青年期にもよく見られます。
ADHDとの関連性
発達障害(神経発達症)との関連で言うと、特にADHDと併発することがあります。ADHDの衝動性と結びついて、攻撃性が抑えられず問題行動を起こすことがあります。
よくあるのが、
・目上の人や権威と言われるものに反抗的な態度を取る
・万引きや窃盗を行う
・悪態をついたり汚言症のように汚い言葉を使いたがる
・人によって態度を変えて、自分の言いなりになる人を探す。人を支配しようとする。
・(上記の理由で)強気に媚びて、弱いものをいじめる
といったものです。
昭和の「不良」と言われていた人たちも、おそらくこういう人たちだったのでしょう。
怒ることは必要
反抗挑戦性障害の人の扱いはかなり難しく、怒りすぎると逆恨みして、反社会性人格障害になってしまうというリスクがあります。
かと言って甘やかすのは絶対にダメで、なぜなら反抗挑戦性障害の人は自閉の人とは違い、人間関係志向(相手を見て行動する)なので、相手が自分に甘いとわかると、態度を変えたり、舐めてきたりするからです。
そのため、できれば怒らない方がいいのですが、ここからはダメだよ、というラインをきっちりと作り、それを超えた場合、きっちりと怒る必要があります。
パワーゲームを仕掛けてくる
反抗挑戦性障害の人の多くは、行動する意図が、モノや情報、目的、ではなく人間関係志向であることが多いです。その人間関係志向が悪い方向に入った場合、他者にパワーゲームを仕掛けてくることがあります。
・相手によって態度を変える
・相手をおちょくったりして反応を見る
・わざと面倒な事態を引き起こして困らせる
といったことをしてきます。お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、境界性人格障害の人が他者を操作しようとするときとよく似たことをしてきます。
実際、専門家によると、発達障害と境界性人格障害の両方を持っていて、一方が片方に隠れて存在している、ということはそこそこあるそうです。
反社会性人格障害になってしまうことも
困ったことに、反抗挑戦性障害の人はそのまま反社会性人格障害にまで言ってしまうことがあります。
反抗挑戦性障害から素行障害にいたり、そこから反社会性人格障害になってしまうのです。
反社会性人格障害には、他者への共感の欠如や自己中心的な行動、規範を無視する態度が特徴であり、つまり、社会から見て、好ましからない行動を意図的に取る人間になってしまいます。
反抗挑戦性障害の解決策
自尊心をもたせる
反抗挑戦性障害を併発する人が特に顕著ですが、ADHDの人が問題行動を起こす場合、かなりの確率で自尊心の問題が関係しています。
逆に言えば、ADHDの人にとっては、自尊心が満たされるとかなりの問題が解決されていきます。これは他の症状も同様で、ADHDの人に多い、「多動」に関しても、本人が自分に自信をもっているときは明らかに軽くなっていることが多いのは、長年生徒を観察していて感じます。
ただし、どのように自尊心を感じてもらうようにするかは難しいところです。
大抵の場合、勉強では敗北感を味わっていることが多い上、他者をいじめてスカッとする、などといった間違った学習をしてしまっていることが多いです。また、自尊心が低いと、さらに親や先生から怒られる行動をしてしまいがちで、マイナスのループに入ってしまいます。
結論から言えば、
反抗挑戦性障害の人は人間関係志向の人が多いので、
他者から必要とされている
という経験をしてもらうことがとても大事になります。
例えば、
・バイトをして自分が役に立つことを実感する
・ボランティアなどをして自分が必要な人間だと実感する
などの体験が必要になります。
結論
反抗挑戦性障害の人にとっては、「自分が他者から必要とされている」という体験が必要です。