京都の西部地域で家庭教師を行っております。主に発達障害のお子さんの家庭教師をしております。


非認知能力を身につけるには


非認知能力とは

非認知能力とは、学力テストやIQといった「認知的スキル」では測れない、性格や態度、対人関係の力などを指します。代表的なものに「自己肯定感」「やり抜く力(GRIT)」「共感性」「忍耐力」「協調性」などがあり、幼児期から青年期にかけての社会的・情緒的な成長の中で形成されます。

これらの能力は、学力や職業的成功に間接的ながらも大きな影響を与えるとされており、特に自己調整力目標志向性は、長期的な成果やウェルビーイングと関連づけられています。従来の教育が認知能力重視であったのに対し、近年では「学びへの態度」「他者と協働する力」といった非認知能力を育む教育が注目されています。

非認知能力は数値化が難しいものの、保育・教育現場での実践や、行動観察・記述評価を通じて育成・把握する取り組みが広がっており、21世紀型スキルの一角としても位置づけられています。

子どもの成長にとって、非認知能力を育てることが重要

非認知能力は、テストや数値で評価される「認知能力」では捉えきれない、子どもの内面的な力です。具体的には、自己肯定感、やり抜く力、他者との協調性、感情のコントロール、思いやりなどが含まれます。これらは、社会で生きていく上での土台となる力であり、学力や技能と同じかそれ以上に、人生の満足感や達成感に影響するといわれています。

非認知能力は幼少期からの日々の生活や遊び、対人経験の中で自然に育まれるもので、大人が意図的に関わることでより豊かに伸びていきます。例えば、失敗しても挑戦を続けたり、友達とのケンカから思いやりを学んだりする中で、非認知的な成長が起きます。

将来、社会で自立し他者と協力して生きるためには、知識だけでなくこうした「人間力」が欠かせません。だからこそ、子どもの成長にとって非認知能力を育むことは極めて重要なのです。

当事者にとっては一番難しいスキル

発達障害のある人にとって、非認知能力――たとえば自己制御、他者との協調性、感情の調整など――を身につけることは、定型発達の人に比べて難しい場合があります。理由の一つは、感覚過敏や注意の偏り、言語や非言語のコミュニケーションの困難さが、社会的なやりとりや失敗からの学びを妨げることがあるからです。また、本人の特性が環境にうまく適応できないと、経験を通じた自己肯定感の形成や、やり抜く力の獲得が阻まれやすくなります。しかしこれは「身につけられない」という意味ではなく、適切な支援と環境があれば、時間をかけて育てることは十分可能です。

非認知能力を育てるには

非認知能力を育てるには、まず本人の特性を理解したうえで、安心できる環境と明確な見通しを用意することが重要です。たとえば、多動傾向がある子には、自由に動けるスペースと「5分ごとに動いていい時間があるよ」といったルールを提示することで、少しずつ自己制御の力を養うことができます。

また、感情コントロールが難しい子には、絵カードや色カードを使って自分の感情を可視化し、言語化するトレーニングを継続的に行うことで、「怒ってる時はこうすればいい」といった対処スキルを身につける助けになります。

さらに、協調性を育てるには、強制的な集団活動よりも、安心できる相手と小グループで関わる経験を重ねることが有効です。たとえば、得意なテーマ(電車や恐竜など)を共有できる友人と話す時間を設けることで、自己効力感や他者への興味を自然に伸ばすことができます。個人差は大きいのですが、一般的には自閉(ASD)傾向の強い人は強制的な集団活動が苦手な人が多いですが、ADHD傾向の人は問題ない人が多いです。ただし、ADHD傾向の人は過剰適応してしまっている人もいます。

このように、非認知能力は“社会性のトレーニング”というよりも、「本人が安心して失敗できる場所の中で、少しずつ試してみる経験の積み重ね」から育っていきます。発達障害のある子どもたちにとって、それは量より質、強制より選択、競争より共感が鍵になると言えるでしょう。特に自閉傾向の人にとっては、量をこなすことよりも、1回の成功体験のほうが重要になります。

自己観察能力(メタ認知能力)を上げるには

私が以前から指摘している通り、多くの発達障害(神経発達症)の人にとっては、自己観察能力を上げるということが大変重症になってきます。

発達障害のある人が自己管理能力を高めるためには、まず自分の感情や行動のパターンに気づく「自己観察能力(メタ認知)」を育てることが出発点になります。ただ「気をつけよう」と意識するだけでは効果が薄いため、視覚的・構造的な支援を使うことが有効です。

たとえば、時間管理が苦手な人の場合、時間の感覚を言葉で理解するのではなく、「視覚タイマー」や「色分けスケジュール表」を使って目で“見える化”することで、「あと10分でこの作業が終わる」と実感しやすくなります。これにより、時間に対する自覚が育ち、次第に時計を見ながら自力で切り替えようとする意識が芽生えます。

また、気持ちの起伏や行動パターンに注目するには、「感情日記」や「できたことメモ」などを毎日書き残す習慣が役立ちます。自分の調子が良い日の特徴を後から客観視できるようになることで、「今日は不安な気分だから、人と話すのは控えよう」といった自己判断がしやすくなり、自己制御行動の第一歩になります。

さらに重要なのは、本人の努力を“できて当たり前”にしないことです。小さな気づきや試みを一緒に振り返り、「気づけたこと」が成長であると周囲がフィードバックすることで、自己観察と管理への意欲が継続しやすくなります。

このように、発達障害のある人にとっては、意識よりも構造とフィードバックが鍵。自分を知る“習慣”を支える環境設計が、自己管理能力の土台となるのです。

ソフトスキル、いわゆる非認知能力が社会では重要で、単に偏差値が高いだけのソフトスキルが不足している人間は使いにくいというのはかなり昔から言われています。

一般企業の中には採用の際に、いわゆる裏マニュアルで、ソフトスキルが不足している人を落とすようにしているところがありますし、公務員の面接試験ですら、ソフトスキルがない人にとっては厳しいものになっています。(公務員試験の面接で全滅した方もいらっしゃいました)

昔は公務員試験などは、試験の点だけで採用されていた時代に比べると、ASDの人にとっては非常に厳しい時代になっています

そのような社会の変化を受けて、学校の学習環境でも、知識重視の教育から、協調性やコミュニケーション能力重視の学習に切り替えているところも増えてきました。

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