京都の西部地域で家庭教師を行っております。主に発達障害のお子さんの家庭教師をしております。


母親が強いと子どもも強くなる


今まで様々なご家庭に行かせていただきましたが、やはり思うのは、お母様が強いと子どもさんも「生きる力」が強いという傾向があるのを感じます。

子どもが安心感や自己肯定感を育む土壌となる

「母親が生きる力が強いと、子どもも生きる力が強くなる」という現象は、心理学的にいくつかの概念で説明できます。

まず「生きる力」とは、自己効力感(self-efficacy)やレジリエンス(resilience:困難から立ち直る力)を含む、心理的な適応力を指します。母親が困難に立ち向かい、自らの問題解決能力を発揮して生活を前向きに切り開いている姿は、子どもにとってモデルとなります。これは「モデリング効果」(modeling)と呼ばれ、社会的学習理論(バンデューラ)に基づいて、親の行動が子どもの学習に強く影響することが知られています。

さらに、母親の心理的安定性やストレス耐性が高い場合、育児や家庭内の情緒的な環境も安定しやすくなります。これは「アタッチメント理論」(attachment theory)に照らすと、子どもが安心感や自己肯定感を育む土壌となります。安全基地として機能する母親の存在が、子どもの「探索行動」や「挑戦への意欲」を支えるため、困難にもひるまず乗り越える力を育てるのです。

加えて、家庭内での「意味づけの共有」(meaning-making)も重要です。母親が苦労や失敗に意味を見出し、成長の糧と捉える態度を示すと、子どもも人生の苦難を肯定的に受け止める認知的枠組み(cognitive framework)を形成しやすくなります。

つまり、母親の生きる力が高いほど、子どもは模倣・情緒安定・認知形成といった複数の面から「心理的な生命力」を獲得しやすいと言えるのです。

子離れすることが必要

子供さんがうまくいかない、あるいは親子関係がうまくいかない原因として、そこそこあるケースとしては、母親が自分の子どもを自分のアイデンティティの一部として、自分の人格と同一化してみてしまっているというケースです。もっとはっきりと言うと、自分の子どもに対して「子離れ」できていないということです。

子離れできない母親

このタイプの母親は、潜在意識では自分が自分の子供に心理的に頼っていることを知っていますが、顕在意識では気がついていない、あるいは気がついていないふりをします。これを面と向かって指摘するのは大変むずかしく、場合によっては逆効果になることがあります。本人にとっては一番弱いことだからです。大抵は彼女たちは、「子どもが可愛そう」「子どものためにやっている」などと言って、自分が子どもを必要としていることを、「子どもが自分を必要としている」と言い換えてしまいます

母親が自分の子供を自分のアイデンティティの一部として自己投影してしまった場合、自分の子供のちょっとしたミスや間違いなどに過剰に反応してしまいます。なぜなら、自分の子どもの不始末を見ると、自分が傷つけられたと感じるからです。また、自分に自信がない母親は、自分のアイデンティティの一部に自分の子どもがいる場合、自分の自信のなさを子どもに自己投影してしまいます。これは、(本人は意識していませんが)母親の「自信がない」というエネルギーを子どもに受け取ってくれ、と強要しているのと何ら変わらない行為をしているのです。

以前に母親の影響でも申し上げた通り、子供さんはある歳までは、母親のエネルギーの影響をかなり受けます。母親のエネルギーが下がると子供さんに影響がでることが多いです。

自己投影を避けるための対処法

境界線を意識する

・「私は私、子どもは子ども」という心理的な境界意識が必要

・家族療法では「健全な境界」を保つことが、自立的な家族関係の基本とされる

自分の感情と子どもの感情を分けて考える練習

・例:「子どもが失敗しても、それは私の失敗ではない」と言語化してみる

・感情を客観視する力=メタ認知(metacognition)を養う

“子どもを通して自己評価しない”意識づけ

・子どもの成果に自分の価値を重ねると、親も子も疲弊してしまう

・代わりに、自分自身が満たされる活動(趣味・社会活動・人間関係など)を持つことが重要

自己探索と内省の時間を持つ

・書く・話す・カウンセリングなどを通じて、自分がどこで傷つきやすいかを知る

自分の内側にある「不安」や「期待」を整理することで、子どもに無意識の投影をしにくくなる


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