昔の職人の徒弟制度などでは、まずは親方は弟子の基本動作を徹底的に直して、完成させるという教育を行ってきました。基本動作を習得しないと、怪我をする、途中で伸び悩む、といった問題が将来必ず生じてしまうからです。
こういう職人の徒弟制度といったものは、良い点、悪い点、両方あるとは思います。
良い点としては
・将来まで役にたつ基本技術が身につく
・緊密な人間関係によって人間的なつながりができる
といったものがあります。
悪い点としては
・「見て覚えろ」などといった、現代の子や発達の方には理解できない指導法をする
・理不尽な上下関係がある
・「〇〇何年」など一人前になるまでに時間がかかりすぎる
といったことがあるように思われます。
従来型の職人の徒弟制度のような関係は、ただでさえ人手不足の中、今後淘汰されていくとは思います。
ただし、必要な考え方もあり、それは最初に申し上げた、
「基本技術を徹底して固めていく」
ということが重要だということです。
勉強をする上で、基礎ができていないと必ず将来的にできない分野がでてきます。これは職人的な技術も勉強も同じです。
具体的な話をすれば、例えば、分数を書く際に、口では「六分の一」と発声しながら、分数を分子の1から書き始める人がいます。
これは発声と書いている順番が異なってしまうために、複雑な計算になっていくと発声しながら間違って書いてしまうことが起こります。勉強ができない人は必ず分子から分数を書いてしまう癖があるのですが本人は気がついていません。
ですから小学生の間に必ず、発声と書くことを合わせて、「六分の一」の分数を書くときは分母の6から書くように癖をつける必要があります。
そのあたりは、親や教師、支援者は介入すべきです。
発達の人は自分のやり方にこだわりをもっている人が多いことは事実です。ですから、こちらが指摘しても、なかなか聞いてくれるとは限りません。ですから相手の様子を見てどれくらい受け入れてくれるのか観察する必要がありますが、それでも何度かは提案すべきです。
また、致命的なミスを生み出しかねない悪い癖に関しては、短期的に当事者の機嫌を損ねても、改善するように指導すべきです。
親御さんの協力が必要
ただし、子供さんの勉強の悪い癖を直していく場合、親御さんの協力が必要です。親御さんも価値観を合わせていく必要があります。親御さんも支援者と同じ価値観をもっていかないと、こちらからのアプローチに説得力や一貫性をもたせられないからです。